水環境学会誌
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研究論文
中海浚渫窪地の硫化水素発生抑制における石炭灰造粒物の適正施工量
山本 民次中原 駿介桑原 智之中本 健二斉藤 直樋野 和俊
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2022 年 45 巻 5 号 p. 207-221

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抄録

中海干拓・淡水化事業で残された中海の浚渫窪地では, 硫化水素の発生が著しく, 生態系の崩壊につながっている。2012年12月~2013年2月に, 細井沖の小規模な窪地 (面積0.05 km2) を対象に, 環境修復資材である石炭灰造粒物を試験的に覆砂 (30,000 m3, 覆砂厚50 cm) したことで, 硫化水素の発生を大きく抑制できた。しかしながら, その後も敷設した石炭灰造粒物の上に有機物粒子が堆積し, 1年半程度で再び硫化水素の発生に至ることが分かった。石炭灰造粒物の適正な施工量について数値モデルを用いて検討したところ, 10,000 m3 (覆砂厚17 cm程度) 敷設でも十分な抑制効果があることが分かった。ただし, 有機物が継続的に堆積することから, このように薄い敷設を数年に1回, 繰り返し行い, 最終的に窪地を埋め戻すことが最も良いという結論を得た。

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© 2022 公益社団法人 日本水環境学会
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