水環境学会誌
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研究論文
干潟浅場造成材としての固化しないカルシア改質土の有効性―メソコスム水槽による比較実験―
小杉 知佳吉村 航加藤 敏朗小松 伸行古賀 あかね今尾 和正中村 航佐々木 淳中村 由行
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2024 年 47 巻 1 号 p. 15-25

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抄録

底質材料としての固化しないカルシア改質土の有効性について, メソコスム水槽を用いて浚渫土砂単独を底質材料とした場合との比較実験を行い, それぞれに形成された干潟浅場生態系を比較して調べた。固化しないカルシア改質土は, 港湾浚渫で発生する土砂と製鉄副産物である転炉系製鋼スラグで構成し, その粒度分布や配合割合により, 製鋼スラグによるセメント固化を低減し, アマモや埋在性の底生生物が生息できるよう改善した混合土である。本研究では, 実海域適用前の検討として, 干潟・浅場一体型メソコスムを使った2年間の長期評価を行い, 2基のうち一方を実験区とし浚渫土砂と製鋼スラグの混合土を, もう一方は対照区として浚渫土砂のみを敷設した。実験区, 対照区のいずれの底質にも潜砂性のマクロベントスが観察された。アマモの生育は, 底質の安定化により光環境が改善した実験区で, 対照区よりも多く生育した。以上より, アマモ場および底生生物の生育に適した底質環境を創出できたと考える。

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