ひとつのろ床内で好気処理と嫌気処理の双方を強化する新たなハイブリッドシステムとして, パイロットスケールの多段人工湿地の2段目及び3段目ろ床の上半分に干満流を, 下半分に部分飽和を適用したハイブリッドろ床を導入し, 下水浄化性能を検証した。その結果, BOD及びNH4+-Nについては, ろ材の種類に関わらず97%以上の極めて高い除去率が達成できた。T-N及びT-Pについては, ゼオライト及びケイ酸カルシウムをろ材として組み合わせたろ床を含む条件において, それぞれ31及び46%の除去率が得られた。本研究により, 多段人工湿地に干満流と部分飽和を組み合わせたハイブリッドろ床を導入することで, 従来の鉛直流人工湿地と水平流人工湿地を組み合わせるハイブリッドシステムよりも良好な下水浄化性能が得られることをBOD, NH4+-N及びT-Pでは確認することができたが, T-N除去性能の改善には至らなかった。