ハイブリッドろ床を導入したパイロットスケールの多段人工湿地に中層流入を適用し, 通常の表層流入での下水の試験処理と比較することで, 中層流入が下水浄化性能に及ぼす影響を検証した。その結果, BOD及びNH4+-Nの除去性能は表層流入よりも低下したが, ろ材の種類に関わらず98%以上の高い除去率が達成できた。T-N除去性能は中層流入の適用により著しく改善され, ろ材の種類に関わらず75%以上の除去率を達成できたが, T-P除去性能に対する改善効果は見られなかった。ろ床コアサンプルの微生物群集を比較したところ, 中層流入期間では全真正細菌に対するアンモニア酸化細菌および亜硝酸酸化細菌の減少とアナモックス細菌の増加が見られた。これらの結果より, ハイブリッドろ床への中層流入が, 従属栄養細菌による脱窒反応だけでなくアナモックス反応の強化にも効果があり, 両者によって窒素除去性能が改善されたことが示唆された。