2025 年 48 巻 p. 143-154
宍道湖では藍藻のMicrocystis属によるアオコが確認されてきた。本研究ではMicrocystis属の保存検体を利用し, 細胞径と細胞間距離を計測した。細胞径には差が認められM. ichthyoblabeは3.3~4.0 μmであるが, M. aeruginosaは4.5~4.9 μmとM. ichthyoblabeよりやや大きいことが明らかになった。また細胞間距離は, M. aeruginosaはいずれも平均1.1~2.8 μmと比較的密な状態であるが, M. ichthyoblabeは平均0.9~5.7 μmと差が見られ, 密な場合と比較的疎な場合があることが分かった。アオコ発生時の宍道湖上層の水質状況は, 発生確認前2ヶ月間の平均塩化物イオン濃度は2,000 mg L-1を下回る場合が多く, PO4-P濃度はアオコが発生しなかった年に比べて, アオコが発生した年に高い傾向があることが明らかになった。