水環境学会誌
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調査論文
貝殻含有石炭灰固化体が海水のpHと栄養塩環境に与える影響
深瀬 健斗芳村 毅水田 浩之日恵井 佳子砂賀 茂夫山本 武志大塚 拓森永 祐加小林 卓也
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2025 年 48 巻 p. 77-87

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抄録

本研究は, フライアッシュを大型藻類のための藻礁として活用するうえでの有用性を検討するため, 貝殻含有石炭灰固化体 (FSB) が海水のpHと栄養塩濃度 (SiO2, PO4, NH4, NO2, NO3) に与える影響を評価した。セメントペースト (OPC) , FSB, FSBに高炉スラグ微粉末を配合したFSBsを海水にそれぞれ固液比1 : 10で7日間浸漬した。元の海水のpHが約8.0だったのに対し, OPC区ではpHは約9.9まで上昇し, SiO2が溶出した。FSB区とFSBs区ではpHは8.2~8.5まで上昇し, 全ての栄養塩が溶出した。FSB区とFSBs区の栄養塩溶出はフライアッシュが要因と推察され, 固化体に着生した藻類に正の影響を与えることが示唆された。FSBとFSBsはpHへの影響の小ささと栄養塩溶出の点から, OPCよりも藻礁として有用である可能性が示された。

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© 2025 公益社団法人 日本水環境学会
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