2025 年 48 巻 p. 89-103
雨水流出に伴う粒子挙動を理解するためには, マイクロプラスチックを含む様々な環境中粒子の物理的特性の把握が求められる。本研究では, 道路塵埃及び雨水桝内堆積物中の全粒子に対し, 異なる密度の溶液を用いた粒子密度の推定, 画像解析による形状特性値の算定, ATR-FTIRによる材質組成の同定分析を行い, 個数ベースの粒子特性データを取得した。いずれの試料も90%以上の粒子が密度1.6 g cm-3以上の高密度な画分に分布した。形状特性では, 雨水桝内堆積物では道路塵埃よりも小さな粒子が多く分布し, 微細な粒子同士が固着した団粒状粒子も多く存在したものと考えられた。材質組成では, 全粒子の約40~50%がSynthetic polymerとして同定され, Synthetic polymer粒子は密度1.6 g cm-3以上かつ, Feret径500~800 μmの画分に多く分布した。