廃棄物学会論文誌
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アンケート調査による北海道における牛ふん尿の自動撹拌式堆肥化施設とバイオガス化施設の設置効果の解析
谷川 昇古市 徹石井 一英清水 心太
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2008 年 19 巻 2 号 p. 141-149

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抄録
牛ふん尿の自動撹拌式堆肥化施設とバイオガス化施設 (高度処理施設) を設置している北海道の畜産農家 (設置農家) に対してアンケート調査を行い,設置農家の特徴と施設の設置動機や利点・留意点等の設置効果を明らかにした。
設置農家の多くは,北海道での平均飼養牛頭数の約2倍の乳用牛を飼養し,広い農地を所有する経営規模が大きな農家であり,家畜ふん尿管理上の問題の存在と経済的支援制度が,高度処理施設設置の動機付けになったと考えられた。
高度処理施設設置の利点は,臭気が低減された施用効果が高い堆肥化物または液肥化物が得られること,寒冷地の冬季でも家畜排せつ物を安定処理できることであり,留意点は,建設費用と維持管理費用が高額なこと,維持管理の手間がかかることであった。
バイオガス化施設の建設費用と維持管理費は,自動撹拌式堆肥化施設より安価である結果が得られた。また,自動撹拌式堆肥化施設とバイオガス化施設の設置に伴うふん尿管理時間の平均増加率は,同程度の約20%であった。しかし,バイオガス化施設では,維持管理する設備数が多い,メーカーに解決依頼するトラブル発生がある等の煩わしさが影響しているために,バイオガス化施設設置農家の維持管理の手間がかかるとする回答率が,自動撹拌式堆肥化施設の約2倍になったと考えられた。
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© 2008 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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