抄録
廃棄物処分場には種々の形態をもつ多様な化学物質が投入される。それらは処分場内でのpH、ORP、温度等の環境条件の影響を受けて変化し、一部は浸出水中に含有され処分場外に排出される。浸出水中には無機塩類のほか内分泌撹乱作用が疑われる微量有機物も検出されることがある。浸出水中の化学物質の適切な制御は、周辺環境の保全やその流域での水資源活用という観点から必要不可欠な事項となっている。有害化学物質の制御を考える際には、まず廃棄物処分場内での物質の変容・挙動に関する知見を集積することが必要となるが、それらはまだ緒に就いたばかりである。そこで本研究では、浸出水中での含有がしばし報告されているフェノール類を取り上げ、その実廃棄物からの溶出特性について調査した。またセメント固化焼却灰・鉄粉・ゼオライトの無機廃棄物へのフェノール類の吸着性を調べ、PRB(透水性反応層)材料としての可能性について考察・検討した。