抄録
プラスチック製品の中間原料であるレジンペレットが環境中に漏出し、海水中から有機化学汚染物質を吸着することが報告されている。本研究では東京湾周辺の6ヶ所の海岸から採取したレジンペレットについてGC/MS分析を行い、ノニルフェノール(NP)及びビスフェノールA(BPA)溶出濃度を測定した。海岸から採取したレジンペレットから検出されたNP濃度は100_から_8,000ng/g(PE)、及び100_から_28,000ng/g(PP)、BPA濃度は7_から_1,000ng/g(PE)、及び30_から_750ng/g(PP)の範囲であった。レジンペレット中のNP及びBPAの濃度は工業地帯の海岸の方が他の海岸のそれに比べて高い値を示した。レジンペレット中のNP及びBPA濃度は海水中の濃度よりも1,000倍から10,000倍高い値を示し、このことから海水中からNP及びBPAのペレットへの吸着・濃縮が起こっていることが示唆された。