抄録
海面管理型処分場の深度別土壌の理化学性状及び遺伝子工学的細菌叢解析を行ったところ、表層土壌には硫酸イオンが多いこと、また硫化水素をイオウや硫酸塩に酸化するイオウ酸化細菌が表層に多く、逆に深いところでは硫酸還元菌が多いという菌叢の分布が明らかになった。掘削埋め戻し作業の7ヶ月後のサンプルでは深層の硫酸還元菌の割合が掘削前の約10倍に増加しており、全菌数の20%を占める結果となった。また、増加した硫酸還元菌はProteobacteria 門に分類されるDesulfonatronumであった。高アルカリを呈する処分場土壌で、掘削により表層の硫酸イオンが深部に供給されることで好アルカリ性の硫酸還元菌活発に活動し始めたと考えられた。硫化水素ガスが発生していない廃棄物処分場でも、掘削や埋め戻し等の施行により硫化水素ガスが発生する危険性を潜在的に有していることが強く示唆された。