抄録
PCB特別措置法の施行およびPOPs条約発効、また低濃度PCB問題の顕在化に伴い、絶縁油中PCBの簡便かつ安価な測定法ニーズが高まりつつある。演者らは、すでに絶縁油中のPCBを簡便・迅速な定量を目的とし、カネクロール(KC)-300_から_600をほぼ同程度に認識するBR (Broad Range) PCB ELISA、およびELISAを絶縁油試料に適用するための、簡易な前処理法を開発した。本報では絶縁油中でのPCB定量下限値0.5mg/kgを目指し、ELISAアッセイ法、前処理法について更なる改良を行なった。その結果、ELISAの高感度化および前処理の簡易化により、模擬絶縁油中ではPCB 0.3_から_0.5mg/kgレベルでの十分な測定精度を、また実絶縁油中においては、特に低濃度領域での測定精度の改善を確認した。