環境科学会誌
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研究資料
水道水中のグルホシネート・グリホサートおよびアミノメチルリン酸の一斉分析法の検討
~誘導体化-LC/MS/MS法および誘導体化-固相抽出-LC/MS/MS法~
木下 輝昭菱木 麻佑小杉 有希鈴木 俊也保坂 三継中江 大
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2015 年 28 巻 6 号 p. 415-425

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抄録

アミノ酸系除草剤であるグルホシネートは,平成25年3月に水道水の管理目標設定項目の対象農薬リストに追加されたものの標準検査法が設定されていない。そこで,本研究ではグルホシネート(目標値:0.02mg/L)と同系統の除草剤であるグリホサートおよびその代謝物であるAMPA(目標値:合計して2mg/L)について,クロロギ酸9-フルオレニルメチル(FMOC)による誘導体化-LC/MS/MSによる一斉分析法およびFMOCで誘導体化後,逆相系固相カラムで抽出し,LC/MS/MSによる一斉分析法の検討を行った。
グルホシネート(濃度:0.2~10μg/L),グリホサートおよびAMPA(各濃度:1~50μg/L)の検量線は,決定係数(r2)が0.9999~1.0000と高い値を示し,直線性は良好であった。また,装置の定量下限値は,それぞれ0.2μg/L,1μg/Lおよび1μg/Lで,対象農薬の目標値の1/100以下の測定が可能であった。誘導体化-LC/MS/MS法について,アスコルビン酸ナトリムで脱塩素処理した水道水を用いて対象農薬の目標値の1/100および1/10の添加濃度における添加回収試験を行ったところ,回収率および変動係数は目標値の1/100で94~116%および1.2~10.9%,目標値の1/10で92~106%および1.5~5.6%であった。
誘導体化-固相抽出-LC/MS/MS法における固相抽出の最適な条件として,負荷量は20mL,溶出液はアセトニトリル-5mM酢酸アンモニウム水溶液(40:60,v/v)1.5mLであった。誘導体化-LC/MS/MS法と同様の添加回収試験を行ったところ,回収率および変動係数は,目標値の1/100で99~116%および3.6~4.0%,目標値の1/10で111~118%および0.9~3.0%であった。
今回検討した2つの方法は,目標値の1/100および1/10において水道水質妥当性評価ガイドラインの評価目標を満たしており,水道水の検査に十分適用が可能であった。

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© 2015 社団法人 環境科学会
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