抄録
近年の都市の持続可能性という観点から,環境と地域の社会・経済の発展の両面でアプローチが求められている.これを実行するための方策のひとつとして,われわれは地域環境通貨を提唱してきた.本研究では,北九州市で行われた地域環境通貨を具現化する北九州市民環境パスポート事業の実証試験の一環として実施した市民・事業者の環境活動をアンケート調査により分析し,また,地域環境通貨のメニューの一部であるカーシェアリングの有効性を示すことで,企業,行政,市民の連携による環境配慮の向上及び都市の意思決定ツールとしての環境評価指標の開発を目的とした.結果,カーシェアリングはわれわれが開発した統合化指標ELPで83.6%の削減効果があり,環境負荷の削減に有効なシステムであるとの知見を得た.また,環境パスポート事業実証実験では,実行容易度によるポイント決定が,参加者の希望と環境負荷削減の両面に即しているとの結論を得た.