抄録
廃棄物処分場の閉鎖を判断する上で,層内水のモニタリングは重要であるが,どこの水質を,どのようにモニタリングすることで埋立層の安定化を的確に把握することができるのか,十分な情報は集積されていない.本研究では,浸出水処理施設流入原水が示す安定化の程度と,埋立地表面で確認される種々の現象が大きく乖離している一般廃棄物処分場において,68本のガス抜き管における管内貯留水を分析し,保有水の性状(場所的な分布特性,時期的な変動特性)を解析することで,埋立層の安定化の状態について検討した.ガス抜き管内水の水質は,場所的に大きな差を有し,ガス抜き管近傍の埋立物の状況を反映していると考えられた.降雨水の影響により変動しているガス抜き管を除外し,測定された水質から層内の状況を推定した結果,60%程度の領域で安定が進行している結果となった.