日本水処理生物学会誌
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Anammoxグラニュールを活用する単一槽窒素除去リアクターの立上げとその影響因子
今城 麗河野 洋平古川 憲治
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2006 年 42 巻 1 号 p. 17-25

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抄録

本研究では、従来の硝化/脱窒に替わる窒素除去法として注目されているAnammox (anaerobic ammonium oxidation)反応と亜硝酸型硝化とを一槽で行うCANON(completely autotrophic nitrogen-removal over nitrite)プロセスについて、Anammoxグラニュールを用いたガスリフトリアクターでのCANONプロセスの立上げと、亜硝酸化反応、Anammox反応、硝酸化反応のバランスに対する影響因子の解析を行った。Anammoxグラニュールを用いることにより、1ヶ月の立ち上げ期間でCANONリアクターは最大0.62kgN/m3/dの窒素除去速度を有し、その速度は用いたAnammoxグラニュールのアンモニア除去速度能力に対し56%であった。好気性の硝化反応と嫌気性のAnammox反応が同時に起こるCANONプロセスに対する様々な影響因子の中でpH、温度、DO濃度について検討を行った結果、窒素除去率に大きな影響を及ぼす因子はDO濃度であり、DO 濃度の制御が処理能力の向上につながることが確認された。本実験では硝酸化を抑制し、かつ高い窒素除去速度を保つためにはDO濃度0.2~0.5mg/lで運転することが望ましいという結果を得た。リアクターは4ヶ月間安定した窒素除去性能を示し、窒素除去速度の平均値は0.4 kgN/m3/d、平均窒素除去率は74%であった。安定した亜硝酸型硝化が困難な低濃度含アンモニア排水の処理方法として本法は有効であると考えられる。

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© 2006 日本水処理生物学会
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