日本水処理生物学会誌
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42 巻, 1 号
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報文
  • 相子 伸之, 瀬戸 昌之
    原稿種別: 報文
    2006 年 42 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2006年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    底泥と水道水を入れた30 lの水槽に浄化材としてポーラスコンクリートブロックと吸リン材を設置した。この水槽を用いて、魚または巻貝が水質におよぼす影響について調べた。120日の実験期間内では、スジシマドジョウ(Cobitis sp. S)を入れた水槽では、入れなかった水槽に比べ、水中の透視度は低く、全リン(TP)・全窒素(TN)濃度は高くなった。いっぽう、カダヤシ(Gambusia affinis)、またはヒメダカ(Oryzias latipes)を入れた水槽では、入れなかった水槽に比べ、水中の透視度は高く、TP・TN濃度は低く維持された。カダヤシとヒメダカは水中に浮遊している粒子状のリンと窒素を捕食し、糞として底に沈降することにより、水中からTP・TNを減らしていることが示唆された。
  • 川越 保徳, 高橋 弘和, 岡崎 優子, 長谷川 仁, 古川 憲治
    原稿種別: 報文
    2006 年 42 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2006年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    低級脂肪酸を高濃度に含む嫌気性水素発酵廃液の処理と水素エネルギー回収を目的に、酢酸、乳酸、酪酸を炭素源として生育可能な耐塩性光合成水素生成細菌を干潟底泥試料から集積した。リンゴ酸を炭素源として光照射条件下での回分培養を繰り返すことにより、リンゴ酸資化性光合成水素生成細菌が集積された。本集積細菌は、酢酸、乳酸、酪酸を炭素源として、30℃、6,000 lx、2%のNaCl濃度の条件下で、各基質1mol当たり、1mol,1.2 mol,3.4 mol の水素を生成した。また上記有機酸は、水素生成反応期間内に消費され、嫌気性水素発酵廃液の処理に適用可能なことが示された。
  • 今城 麗, 河野 洋平, 古川 憲治
    原稿種別: 報文
    2006 年 42 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2006年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では、従来の硝化/脱窒に替わる窒素除去法として注目されているAnammox (anaerobic ammonium oxidation)反応と亜硝酸型硝化とを一槽で行うCANON(completely autotrophic nitrogen-removal over nitrite)プロセスについて、Anammoxグラニュールを用いたガスリフトリアクターでのCANONプロセスの立上げと、亜硝酸化反応、Anammox反応、硝酸化反応のバランスに対する影響因子の解析を行った。Anammoxグラニュールを用いることにより、1ヶ月の立ち上げ期間でCANONリアクターは最大0.62kgN/m3/dの窒素除去速度を有し、その速度は用いたAnammoxグラニュールのアンモニア除去速度能力に対し56%であった。好気性の硝化反応と嫌気性のAnammox反応が同時に起こるCANONプロセスに対する様々な影響因子の中でpH、温度、DO濃度について検討を行った結果、窒素除去率に大きな影響を及ぼす因子はDO濃度であり、DO 濃度の制御が処理能力の向上につながることが確認された。本実験では硝酸化を抑制し、かつ高い窒素除去速度を保つためにはDO濃度0.2~0.5mg/lで運転することが望ましいという結果を得た。リアクターは4ヶ月間安定した窒素除去性能を示し、窒素除去速度の平均値は0.4 kgN/m3/d、平均窒素除去率は74%であった。安定した亜硝酸型硝化が困難な低濃度含アンモニア排水の処理方法として本法は有効であると考えられる。
  • 岡野 邦宏, 間世田 英明, 杉田 和俊, 斎藤 猛, 内海 真生, 前川 孝昭, 小林 達彦, 杉浦 則夫
    原稿種別: 報文
    2006 年 42 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2006年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    本論文では、microcystin LRの安定性に対するpH値の影響、代表的なタンパク質分解酵素によるmicrocystin分解の可能性、およびマススペクトロメトリー(MS)を用いたNovosphingobium (synonym: Sphingomonas) sp. MD-1の細胞抽出液(CE)によるmicrocystin LRの一次分解プロセスについて検討を行った。Microcystin LRはpH 2から11までの広い範囲で安定であった。また、環状microcystin LRは12種類のタンパク質分解酵素に対して安定であり、全てにおいて分解が確認されなかった。これにより、microcystin分解酵素MlrAおよびそのホモログ酵素は極めて特異的であることが明らかとなった。Microcystin分解菌Novoshpngobium sp. MD-1のCEによる直鎖型microcystin LRがMSにより同定された。その直鎖型microcystin LRはNovosphingobium (synonym: Sphingomonas) sp. ACM3962とSphingomonas sp. B9による中間生成物と同じ構造であることが確認された。また、同定された直鎖型microcystin LRは9種の酵素によって分解が確認され、その分解はC末端のL-Argより起こることが示唆された。しかしながら、それらの活性はNovoshpngobium sp. MD-1のCEと比較してきわめて低かった。これらのことから、MlrAおよびMlrBを含むmicrocystin分解関連オペロン(mlrA operon)は、microcystin LRの分解において極めて特異的かつ希な酵素群であることが証明された。
  • 立本 英機, 天野 佳正, 町田 基, GEORGE DENNIS, BERK SHARON, 瀧 和夫
    原稿種別: 報文
    2006 年 42 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2006年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では、アオコの増殖量の予測モデルを定式化することを目的とし、窒素およびリンの濃度範囲を変化させたMicrocystis aeruginosaの室内培養実験およびMicrocystis種が出現する湖沼の水質データをもとに、Chl.a濃度を栄養塩濃度比および湖沼成因に伴う栄養塩濃度に関わる係数αを冪数とする関数で表わすことを試みた。その結果、Chl.a濃度の挙動は、栄養塩濃度比に対し、ガウス型の分布形状を示すことを明らかにした。また、α値は湖沼の栄養度の高低を示し、α値が小さいほど富栄養化の進行度が高いことが示された。成因別湖沼におけるα値から、富栄養化の進行度は堰止湖が最も高く、以下、海跡湖、断層湖、火山湖そしてカルデラ湖の順であることが明らかとなった。
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