抄録
浄化槽の一次処理を行う槽(一次処理槽)における固液分離や汚泥貯留の性能は、汚水の流れの影響を受ける。一次処理槽の設計を最適化するためには、槽内の水流を把握する必要があり、数値流体力学(CFD)シミュレーションの利用が有効と考えられる。そこで本研究では、CFDを用いて一次処理槽内の水流をシミュレーションし、超音波ドップラー流速計(ADV)による実測結果と比較することで、CFDの信頼性を評価した。シミュレーションで得られた水流パターンは、実測結果と良好に一致した。流入バッフルから出た水流はそのまま槽底部に達し、槽底部で放射状に広がる水平流となり、壁面に沿って上昇し流出バッフルに入った。流入水量が20 l/minと50 l/minの条件について、シミュレーションと実測による流速はおおむね一致し、相関係数はそれぞれ0.68、0.93であった。また、流速が0.5 cm/sと十分に小さいデータを除くと、シミュレーションによる流向は、ADVによる測定結果と良好に一致した。ゆえに、CFDシミュレーションで得られた水流の信頼性は十分に高く、CFDは浄化槽の設計に有効なツールになるといえる。