日本水処理生物学会誌
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固定床型アナモックス反応槽を用いた消化汚泥脱水ろ液からの窒素除去
高木 啓太奥田 正彦糸川 浩紀中沢 均古川 憲治
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2011 年 47 巻 2 号 p. 87-94

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抄録

近年,アナモックスプロセスは低コスト・省エネルギーの新しい窒素除去技術として期待されている。本研究では,アナモックスプロセスの実廃水処理に対する適用性を検証するため,実下水処理場の消化汚泥脱水ろ液を処理対象とした実証実験を実施した。実験には,亜硝酸化槽およびアナモックス槽から成る2槽式のアナモックスプロセスを用い,それぞれ槽内に固定化担体を充填した固定床型反応槽とした。アナモックス反応槽の立ち上げは,低負荷条件から処理状況をみながら段階的にHRTを下げて負荷を上昇させることで,窒素除去速度は33日目に1.89kgN・m-3・d-1に,55日目に2.66kgN・m-3・d-1に達した。運転開始以降,流入水のNO2-N/NH4-N比は0.94~1.18と,若干の変動はあったが,窒素除去率は74~87%(平均80%)で安定して維持できた。流入窒素負荷を2.76~3.61kgN・m-3・d-1の範囲で変動させた結果,処理水濃度には原水NH4-N濃度の変動と同様に若干の変動がみられたが,窒素除去率は平均81%と顕著な低下はなかった。高濃度のNH4-Nを含む消化汚泥脱水ろ液から効率的に窒素を除去する方法として,固定床型アナモックス反応槽を用いた窒素除去プロセスの有用性が示された。

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© 2011 日本水処理生物学会
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