抄録
培養温度による嫌気性アンモニア酸化細菌(anammox菌)の群集構造の違いを解析するために、淡水環境より採取したサンプル(河川底泥、湖底泥、ダム貯水池底泥)を中温(35℃)および低温(15℃)下で約800日間にわたり長期培養した。長期培養により、いずれのサンプルもアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素の同時除去と窒素除去速度の上昇が確認され、anammox反応による窒素除去が示唆されたので、anammox菌群の16S rRNAを対象とした群集構造解析を行った結果、すべてのサンプルからanammox菌群が検出された。中温条件から検出された系統はCandidatus Jettenia caeni strain KSU-1およびCandidatus Brocadia sinica strain JPN1とそれぞれ99-100%の相同性を、一方で低温条件の場合はCandidatus Brocadia fulgida and Candidatus Brocadia sp.40に対しそれぞれ94-96%の相同性を示した。系統解析の結果、培養温度によりanammox菌群の系統に違いがみられ、特に低温条件下の長期培養から検出された系統は、既往研究において低温環境下での検出が報告されている複数のanammox菌群のクローンと同一のクラスターに分類された。以上より、本研究は、淡水環境中のanammox菌群は、培養温度によって特定種が集積培養されることを示すとともに、淡水環境中には低温耐性を有する低温性anammox菌群が存在することを示している。