王子グループでは,2020年9月に2030年度を目標達成年度とする「環境行動計画2030」と,30年後の長期ビジョンである「環境ビジョン2050」を策定した。
東海工場においても,目標達成に向けエネルギー消費原単位を5年間平均で年1%以上削減することを目標にエネルギー効率の向上に取り組んでいるが,近年は省エネルギー効果が大きい案件の発掘には至らず,細かな案件を多数実施する活動が続いていた。
その中でモーター効率改善による省エネルギーを検討,製造ラインに清水を供給しているポンプのモーター(AC 220 V 30 kW)1台を永久磁石型同期モーター(PMモーター)に置き換えた場合の試算を行った結果,一定の投資効果が見込める事からPMモーター採用を決定した。併せて,PMモーター置き換えによるインバーター駆動に伴い,従来のポンプ出口バルブ開度80%固定運転から,運転周波数調整を行い,さらなる省エネルギーを図ることとした。
PMモーター置き換え前の試算では2.2 kWの削減効果を見込んでいたが,置き換え後の結果では2.9 kW下がり,また,運転周波数調整では4.0 kWの削減効果の見込に対し,結果は5.3 kWの省エネルギー効果が確認でき,どちらも見込みを上回る結果となった。
本事例ではPMモーター置き換えによる効率向上分に加え,従来の誘導モーター効率が見込みよりも低かったため,実際はさらに軸動力が下がり,全体として見込みの効果を上回ったと考察する。
今回の結果により,現在,同様の清水給水ポンプを3台追加でPMモーターに置き換える計画を進めている。今後は高効率ポンプ導入の検討も行い,更なる省エネルギー活動に努めていきたい。