紙パ技協誌
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抄紙用消泡剤
消泡剤の種類と作用
上原 真一
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2000 年 54 巻 8 号 p. 1065-1069,031

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抄録

良質な紙品質を得るために抄紙工程では種々の薬品が使用されている。これらの薬品は白水を泡立ちやすくする性質があり, 特に顔料, 染料, サイズ剤, 紙力増強剤が発泡性増大の原因となることが多い。また, 近年, 生産性効率アップのために抄造スピードが向上しており, 白水温度も高くなる傾向にある。このため, 白水はますます発泡しやすくなってきている。泡が大量に発生した場合, 紙品質に影響が出るほか, 操業性の低下という問題点も生ずる。
泡トラブル防止のためには機械的方法と化学的方法がある。本稿では消泡剤を用いる化学的方法について述べる。
抄紙用消泡剤として主に使用されているのは高級アルコール系消泡剤とポリエーテル系消泡剤である。高級アルコール系消泡剤の特長は脱気性が良いことである。また, サイズ度の低下が少ないことから新聞用紙の抄造用として使われる。欠点として, 貯蔵条件に制約があることである。また, 抄紙温度が50度以上になると徐々に消泡効果が低下する。ポリエーテル系消泡剤の特長は貯蔵安定性が良く, 少量で効果を発揮することである。欠点は曇点を持つため, 使用温度によって消泡効果が変動することである。また, 親水基をもつため, 紙面に残留した場合, サイズ度を低下することがある。弊社消泡剤を使用した具体例を紹介する。

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