抄録
野生動植物資源を保護する観点から熊胆の調製原料となる野生のクマ (Ursus actos, Selenarctos thibetanus) の取引がワシントン条約によって規制されている。 原料資源の減少に伴って牛や豚の胆汁を混合した熊胆などが流通されることが予想される。 ここでは, クマから調製された真正熊胆と混合熊胆や偽熊胆を判別するために, HPLC-profileにおける8種の抱合胆汁酸ピークの面積値を用いて主成分分析 (principal component analysis:PCA) を試みた。 このPCA法によって真正の熊胆は, 牛や豚の胆汁を混合した熊胆, および熊胆汁を含まない偽熊胆と明確に判別できることが明らかになった。