Journal of Traditional Medicines
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Antidepressant-like effect of a Kampo (Japanese herbal) medicine, kososan, against the interferon-α-induced depressive-like model mice
Takayuki NAGAITeruyo NARIKAWANaoki ITOTadahiro TAKEDAToshihiko HANAWAHaruki YAMADA
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2008 年 25 巻 3 号 p. 74-80

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抄録
香蘇散は, 風邪, アレルギー, 不眠及び自律神経失調症などに伴ううつ症状の治療に臨床的に用いられている。 インターフェロン (IFN)-α療法では, 様々な神経精神的な副作用が惹起されることが知られており, 特に C 型肝炎患者の IFN-α療法時に起こるうつ症状はよく問題となっている。 しかし, IFN-αで誘発されるうつ症状に対する香蘇散の抗うつ効果に関しては科学的な検討が行われていない。 本研究では, 強制水泳試験法を用いて, IFN-α誘発うつ様モデルマウスのうつ様行動に対する香蘇散エキスの作用を検討した。 その結果, 香蘇散エキス (1.0 g/kg/day) を14日間経口投与することによって, IFN-α(1.2 x 106 IU/kg/day, 7 日間腹腔内投与) で誘発された無動時間の延長は有意に短縮された。 一方, 香蘇散エキスは自発運動量に影響を与えなかった。 うつ病態において視床下部-下垂体-副腎系が過剰亢進していることが知られている。 IFN-αで誘発された視床下部の CRH mRNA 発現増加及び血清中のコルチコステロンレベルの上昇は, 香蘇散エキスの投与によって抑制された。 以上の結果から, IFN-α誘発うつ様モデルマウスを用いた検討において, 香蘇散エキスは視床下部-下垂体-副腎系の機能の正常化を介して抗うつ様効果を発揮することが示唆された。
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© 2008 Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU
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