抄録
ハマウツボ科のニクジュヨウ (Cistanche salsa (C.A. Meyer) G. Beck) は, 日本では強壮作用を有する和漢薬として使用されている寄生植物である。 我々は以前の研究において, ニクジュヨウ抽出物がヒトのリンパ節リンパ球において, IgM および IgG の産生を増強することを見出した。 さらに, 3,500 Da の分子量カットオフの透析膜を使用して得られたニクジュヨウ抽出液の透析物 (CSD) はヒト由来の B 細胞株である BALL-1 細胞に対して, わずかな細胞増殖活性と共に IgM 産生増強作用を有していた。 しかしながら, 対照的にこの CSD はヒトバーキットリンパ腫由来の細胞株である Namalwa にはアポトーシスと伴う細胞増殖抑制を誘導した。 これらの結果より, CSD にはリンパ球に対して特異的な活性成分が含まれていることが示されたが, これまで CSD に含まれる活性成分の化学的性質の検討は行われてこなかった。 そこで, 本研究では, CSD に含まれる活性成分の化学的性質について検討を行った。 その結果, CSD をオートクレーブ処理しても前述のB細胞に対する2つの活性は失われず, またゲルろ過クロマトグラフィーの結果より, この両活性のピークが異なるフラクションに濃縮されることが明らかとなった。 これらの結果より, CSD には少なくとも2つのタイプの活性成分が存在し, これらは水溶性の高分子成分で熱に安定であることからポリサッカライドであることが示唆された。