抄録
リターフォールを遷移に伴って変化する機能と考え, その量と質について2林分で比較した. リターフォール量の測定は, 暖温帯常緑広葉樹林帯に属する北部九州にある極相林と二次林で4年間にわたって行った. 両林分の現存量, 年間成長量, 純生産量は, 毎木調査と相対成長関係から推定した. 極相林では, それぞれ263.6 t ha-1, 4.0 t ha-1, yr-1 and 11.9 t ha-1 yr-1であり, 二次林では114.7 t ha-1, 2.5 t ha-1 yr-1 and 9.2t ha-1, yr-1であった. 大径の落枝を除いたリターフォール量は, 極相林では平均7.7t ha-1, yr-1二次林では平均6.5 t ha-1, yr-1であった. 落葉量は両林分とも年変動は小さかったが, 極相林では春に, 二次林では晩秋にピークをもつ規則的な季節変動を示した. 光合成器官のリターに対する非光合成器官のリターの量比は, 二次林に比べ極相林のほうが大きかった. 回転速度は極相林に比ベニ次林のほうが大きかった.