Journal of UOEH
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糖尿病患者における振動覚,冷覚閾値の検討
大西 晃生村井 由之池田 正人杉本 英克
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1990 年 12 巻 2 号 p. 207-214

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抄録
53名の糖尿病(NIDDM)外来および入院患者において, 右示指末節の手掌面(以下上肢)および右第一足指末節の足底面(以下下肢)の振動覚と冷覚閾値を測定し, 感覚閾値と臨床および検査所見との相関関係, 各感覚閾値の異常率を明らかにすることを目的とした. 下肢振動覚閾値は, 患者の年齢, 罹病期間およびBUN値と正の相関関係を示したが, 空腹時血糖値およびHbA1c値とは相関関係を示さなかった. 下肢振動覚閾値は, 下肢の自発的な異常感覚陽性群, 末梢神経障害(著者らの定義による, 本文参照)陽性群, 網膜症陽性群, 尿蛋白陽性群で, それぞれの陰性群に比較して明らかな高値を示した. 臨床的な末梢神経障害陽性群は47%, 振動覚閾値, 冷覚閾値, 振動覚または冷覚閾値のいずれかの閾値の異常率は, それぞれ34, 26, 45%であった. 振動覚および冷覚閾値は異なる神経線維の障害を反映し, それぞれ個別に障害されると推定された.
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© 1990 産業医科大学
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