Journal of UOEH
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両側視神経炎を伴った慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の1例 ―視覚誘発電位検査正常例―
今村 昌平大西 晃生山本 辰紀辻 貞俊村井 由之
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1994 年 16 巻 2 号 p. 179-183

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抄録

症例は35歳男. 明らかな先行症状はなく, 四肢遠位部優位の運動・感覚性末梢神経障害で発症し, 寛解と増悪を示す慢性の臨床経過を呈した. 増悪時期に, 急激な視力低下を伴う両側視神経炎が発症し, 同時に髄液の蛋白細胞解離, 末梢神経伝導検査異常および腓腹神経有髄線維の軸索変性および節性脱髄所見が認められた. 図形反転視覚誘発電位検査でP100潜時の延長は認められなかった. ステロイド投与により, 中心暗点の消失と視力の改善ならびに感覚障害, 深部反射異常, 末梢神経伝導検査異常および髄液蛋白高値の明らかな改善を認めた. それ故, 本例の視神経障害を慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の一症状であると判断した. 本例は中枢神経系と末梢神経系の両方が障害された文献上比較的稀な1例である.

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© 1994 産業医科大学
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