1995 年 17 巻 1 号 p. 1-9
「心とからだの健康づくり(THP)」における健康測定の項目にストレス度チェックの質問項目(THP-SC)が含まれているが, 十分に活用されているとは言い難い. そこで, GHQとの比較により有用性を検討した. THP-SCと60項目版GHQを含む質問票を作成し, 某製造業事務系従業員261名(全員男性, 平均43.7歳)を対象に検討した. GHQはGoldberg法により判定し, THP-SCでは全21項目中ストレス傾向を示す回答数を求め, 度数分布の75パーセント点および90パーセント点を含む幾つかの仮の判定基準を設定した. GHQでカットオフ点以上の回答者は60項目版では有効回答243名中48名, 12項目版では256名中77名であった. THP-SCの回答数は平均5.67±3.19であった. GHQとの比較では, THP-SCのA項目に含まれる質問で有意の関連を示した項目が多かった. GHQとの比較の結果, THP-SCのA項目単独では4以上, 全項目では7以上がストレス状態を示す指標になると考えられた.