Journal of UOEH
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萎縮性胃炎とHelicobacter pylori感染の血清疫学研究
徳井 教孝西阪 眞一溝上 哲也宇戸口 和子吉村 健清
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1996 年 18 巻 2 号 p. 133-140

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抄録
萎縮性胃炎の罹患にHelicobacter pylori感染が関連しているかどうかを明らかにするため, 症例対照研究を行った. 症例群は, 1995年に福岡県A町の基本健康診査を受診した者の中で, 1991年, 1992年の血清ペプシノーゲン値により萎縮性胃炎と判定されず, 1995年の測定で初めて萎縮性胃炎と判定された39名, 対照群は2回の検査で萎縮性胃炎と判定されなかった164名である. 萎縮性胃炎の判定は, 血清ペプシノーゲンⅠ(PGⅠ)と血清ペプシノーゲンⅡ(PGⅡ)の比PGⅠ/PGⅡが3未満とした. 萎縮性胃炎罹患へのHelicobacter pylori感染のリスクをLogistic regression modelを用いて解析した. Helicobacter pylori感染の萎縮性胃炎罹患へのオッズ比は5.2(95%信頼区間:2.08-13.17)と有意な関連がみられた. また, Helicobacter pylori感染の萎縮性胃炎罹患への影響を性別にみると, 男では有意な関連はみられなかったが, 女ではオッズ比が9.8(95%信頼区間:2.82-34.11)と有意なリスクの上昇を示した。以上から, Helicobacter pylori感染は萎縮性胃炎罹患へのリスク要因となり, その影響が男女で異なることが示唆された.
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© 1996 産業医科大学
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