1998 年 20 巻 4 号 p. 339-343
塩酸ピルメノールは, 上室性・心室性頻脈性不整脈に対する新しい経口抗不整脈剤である. 我々は, 他剤抵抗性の発作性心房細動を有する女性患者に対し, 塩酸ピルメノール経口投与を行ったが, 投与後初期に著明な心電図上QT延長とT波の陰転化を再現性をもって来たした稀な症例を経験した. 塩酸ピルメノールの血中濃度は治療濃度以下であり, リンパ球刺激試験は陽性であった. 塩酸ピルメノール経口投与後初期に著明なQT延長とT波の陰転化を心電図上来たす機序として, 本症例の場合, 塩酸ピルメノールの濃度依存性の直接作用より, 何らかの免疫学的機序の関与が示唆された.