2000 年 22 巻 4 号 p. 317-324
マウス肝ミクロソームをオクチルチオグルコシド処理して得られたOTG-ミクロソームの示す鉄イオン依存性ATPアーゼ活性について調べた. 至適条件下[300 mMKCl, 3 mM MgCl2, 10 mM GSH, 100μM FeCl3, 3 mM ATP, 50 mM酢酸緩衝液(pH5.0)]での活性は, 約6μmol Pi/mg蛋白質/hrであった. 鉄イオンに対するKm値は20μM. 活性にはGSHやジチオスレイトールのような還元性試薬の共存が必須であり, またFe2+を反応系からバソフェナントロリンスルホン酸でキレートして除くと, ATPアーゼ活性は完全に消失した. またATPアーゼ活性はバナジン酸で阻害された. これらの結果は, OTG-ミクロソーム中には, Fe2+依存性のP型ATPアーゼが存在することを示唆している.