Journal of UOEH
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22 巻, 4 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 岡井 康二, 岡井(東) 紀代香
    原稿種別: 原著
    2000 年 22 巻 4 号 p. 305-315
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    ジエチルヘキシル・フタレート(DEHP)はポリ塩化ビニル系のプラスチックに最もよく用いられる可塑剤であるが, 最近では環境ホルモンの一つとして注目されている. 一方, DEHPは, 少数の研究結果を除けば過去の多くの研究結果からその遺伝毒性はほとんどないか, 極めて弱いと評価されている. そこで著者は, 比較的新しい遺伝毒性の評価システムであるバクテリアのumu C遺伝子の発現系を用いてDEHPの遺伝毒性を再評価した. その結果, DEHP単独ではこれまでの報告と同様に有意の遺伝毒性は認められなかったが, ラットの臓器のホモジェネートのS-9画分を添加すると有意のumu C遺伝子の発現が認められた. 特に膵臓由来S-9の活性が最も高く肝臓・小腸由来のS-9も有意の活性を示した. しかし腎臓・肺のS-9は活性を示さなかった. これらの活性の程度は, DEHPの代謝に関与する各臓器のリパーゼの活性と相関した. そこでブタ膵臓由来のリパーゼをDEHPとともに添加したところ, 有意の活性を示した. さらにin vivoでのリパーゼ活性に影響を与えると考えられる胆汁酸(コール酸・デオキシコール酸)を上記リパーゼとともに添加したところ, さらにその活性を促進した.
    以上の結果よりDEHPは, 化合物単独では遺伝毒性はほとんど認められないが, ある特定の臓器由来のリパーゼやその修飾因子が存在すると, かなり強い遺伝毒性を示す結果が示唆された.
  • 竹田 和夫, 添田 しおり, 新井 麻美, 川村 越
    原稿種別: 原著
    2000 年 22 巻 4 号 p. 317-324
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    マウス肝ミクロソームをオクチルチオグルコシド処理して得られたOTG-ミクロソームの示す鉄イオン依存性ATPアーゼ活性について調べた. 至適条件下[300 mMKCl, 3 mM MgCl2, 10 mM GSH, 100μM FeCl3, 3 mM ATP, 50 mM酢酸緩衝液(pH5.0)]での活性は, 約6μmol Pi/mg蛋白質/hrであった. 鉄イオンに対するKm値は20μM. 活性にはGSHやジチオスレイトールのような還元性試薬の共存が必須であり, またFe2+を反応系からバソフェナントロリンスルホン酸でキレートして除くと, ATPアーゼ活性は完全に消失した. またATPアーゼ活性はバナジン酸で阻害された. これらの結果は, OTG-ミクロソーム中には, Fe2+依存性のP型ATPアーゼが存在することを示唆している.
  • 山本 美江子, 劔 陽子, 松田 晋哉, グウェン A. ルオン
    原稿種別: 原著
    2000 年 22 巻 4 号 p. 325-337
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    1986年の市場経済導入後, ベトナムは急速な経済発展の過程にある. 産業においては利益が優先される傾向があり, 労働安全衛生や環境保護への配慮は軽視されがちである. 今回, 我々はベトナム北部の露天掘り炭坑とその周辺地域において, 質問票による健康調査を行った. これにより, 咳・痰・喘鳴・息切れ等の慢性呼吸器症状が認められた. また, 職業曝露, 居住地域との関連を含めた分析結果においては, 非現在喫煙者においては, 粉塵作業歴のあるものおよび環境汚染の進んでいる地域に居住しているもので有意に有症状率が高かった. 一方, 現在喫煙者においては, 粉塵作業歴のあるものにて咳・痰・息切れの有意な有症状率を認めた. 以上の結果より, 非喫煙者においては, 粉塵作業歴と環境汚染地域での居住, 年齢が慢性呼吸器症状の有無に影響すること, また現在喫煙者においては粉塵作業歴のみが影響することが考察された.
    今回の調査結果を臨床的にも証明するためには, 今後の調査において呼吸機能検査などの生理学的検査を問診票による調査に加えて行う必要がある.
  • 小川 みどり, 小嶋 暁美, 谷口 初美, 松本 哲朗
    原稿種別: 原著
    2000 年 22 巻 4 号 p. 339-349
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    手洗いは院内感染防止対策上, 基本的かつ最も重要な手技である.
    今回, 本学病院の院内感染防止対策の一環として, Doctor, Nurseの感染防止の意識を高めることを目的に, 手洗い効果の実態について調査を行った.
    19病棟のDoctor(108人), Nurse(114人), 計222人を対象に, パームスタンプチェック一般細菌用寒天培地を用い, 手洗いを行う前と後のコロニー数より菌数を計測した.
    その結果, 手洗い前の菌数より病棟間で微生物汚染状況に違いが認められ, 前後の菌数の比較により手洗い方法による減菌効果の違いが認められた. 水洗および普通石ケンである固形石ケン, マイクロシールドを用いての手洗いの減菌効果はなく, 患者に接する前後の手洗いには減菌効果に優れた消毒剤を使用すべきであることが明らかになった. また, 微生物の増殖している培地と最終結果(写真と菌数の表)を各病棟に戻し, 現場のDoctor, Nurseに現状を認識してもらった.
  • ―占いの今日的特性―
    種田 博之
    原稿種別: ヒューマニクス
    2000 年 22 巻 4 号 p. 351-362
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    私たちは, 自明的に占いを女性のもの一占いの需要・受要者(客)および占いの供給者(占い師)を女性とみなしがちである. しかし, 占いに関しての歴史的資料などを概観すると, 必ずしも女性だけが需要(受容)者でもなければ供給者でもないことがわかる. すなわち, 占いと女性の関係を自明視してしまうと見落とてしまう社会学的な問題群がある. そうした問題群の一つとして「占いの女性化」という問題がある. 「占いの女性化」とは, 占いの担い手一占いの供給者(占い師)と需要・受容者(客)が女性へと特化, 方向づけられていく過程である. 本稿は, 「占いは女性のもの」とする自明視を崩していくために, 「占いの女性化」という問題を浮かび上がらせることを目的とする. また, 近代以降の日本社会における女性像に関する視点を提起する.
  • 小林 美和, 山元 修, 末永 義則, 旭 正一
    原稿種別: 症例報告
    2000 年 22 巻 4 号 p. 363-370
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    美容師・看護婦など女性が多くを占める職業における接触皮膚炎の症例を12例供覧し, その診断や治療の要点について述べた. 症例は美容師5例, 歯科衛生士2例, 看護婦2例, 海女3例である. 接触原の特定に貼付試験が有用であった.
  • ―産業医科大学病院におけるクリティカル・パス導入への取り組み―
    劔 陽子, 山本 美江子, 大河内 二郎, 松田 晋哉, 柏村 正道, 大里 敬一
    原稿種別: 総説
    2000 年 22 巻 4 号 p. 371-381
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    Critical Path(CP)とは入院指導, 検査, ケア項目などをルーティンとしてまとめたスケジュール表である. DRG/PPS(Diagnosis Related Groups/Prospective Payment System:診断群別定額支払方法)の導入を背景として, 1985年頃アメリカの看護婦Karen Zanderを中心に開発された. 日本においても, 昨今の医療費の高騰などに対する対策としてDRG/PPSの導入が論議されており, この制度と不可分の関係にあるCPが今後広まっていくことが予想される.
    こういった状況を踏まえて, 産業医科大学病院でも現在すでにいくつかの疾患のCPが作成, 導入されており, 今後さらに拡大していく予定である. 本稿では医療関係者のCPへの理解を深めるために, 歴史, 目的, 効果, 問題点, 作成と導入の実際, 評価, 産業医科大学病院におけるCPの役割などについて概説する.
  • 南部 滋郎, 田中 晋, 南部 文子
    原稿種別: 資料
    2000 年 22 巻 4 号 p. 383-391
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    アルテミア(属名, Artemia)は節足動物, 甲殻類に分類される動物で, 生態学的にも実験研究的にも大変興味深い存在である. 幼生を用いた実験は記載が多いが, 世代を繰り返し特定な系統を分離するような実験は報告がなく, 飼育法に関して書かれているものが見あたらない. 我々はアルテミアをモデル動物の1つとしてとらえ, 実験材料としてより有用にするため, その近交系株を樹立しつつある. そこで, その飼育法についての我々の実践および飼育成績を述べ, また近年唱えられているアルテミアの分類について記した.
  • 水上 真紀子, 合川 公康, 矢野 公一
    原稿種別: 報告
    2000 年 22 巻 4 号 p. 393-395
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • 産業医科大学
    原稿種別: 報告
    2000 年 22 巻 4 号 p. 397-398
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 22 巻 4 号 p. 399-410
    発行日: 2000/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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