Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
ISSN-L : 0387-821X
歩行解析を行った正常圧水頭症の1例
青山 雄一木下 良正横田 晃戸上 英憲
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 24 巻 1 号 p. 37-44

詳細
抄録

正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus; NPH)の3主徴のうち歩行障害は, 治療効果を推測する上で重要な症状である. しかし, これまで歩行障害の客観的評価やシャント術後の歩行障害の改善度の定量的評価法はなかった. 今回我々は, 3次元動作解析システムおよびforce plateシステムを用いて特発性NPH患者のシャント術前後において歩行解析を行った. 術前, 下肢3関節角度パターンは小さく不規則であった. 床反力パターンは足底接地によるつま先の踏み込み部分のベクトルピークがない1峰性であった. 術後には歩行障害が改善するとともに下肢3関節角度パターンが正常化していた. 床反力パターンも足底接地が改善し, 踏み出しのピークを持つ2峰性となり, 正常パターンに近づいていた. 歩行解析を応用することによりシャント術前後の歩行を客観的に評価することが可能であったNPH患者の1症例を報告した.

著者関連情報
© 2002 産業医科大学
前の記事 次の記事
feedback
Top