Journal of UOEH
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大動脈弁狭窄症による慢性心不全患者にみられた肺毛細血管腫症の1剖検例
王 克鏞谷本 昭英稲永 隆山田 壮亮島尻 正平丁 妍郭 鑫笹栗 靖之
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2009 年 31 巻 4 号 p. 339-344

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抄録
我々は大動脈弁狭窄症を伴った肺毛細血管腫症の1剖検例を経験したので報告する. 症例は86歳日本人女性, 大動脈弁狭窄症による慢性心不全にて血液透析を施行中に, 突然死となった. 剖検すると, 大動脈弁の高度な狭窄と, 両心室壁の肥厚を伴った高度な心肥大とが認められた. 肺の病理組織学的所見では, ヘモジデリンを貪食した肺胞内マクロファージの集簇を伴って, 肥厚した肺胞壁における毛細血管のびまん性増生が認められ, 肺毛細血管腫症に一致する像であった. 以上より当症例は, 大動脈弁狭窄症により長期間慢性的に持続した肺うっ血が, 肺毛細血管腫症を引き起こしたものと考えられた.
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© 2009 産業医科大学
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