Journal of UOEH
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産業保健における職業・環境アレルギー疾患の重要性-第45回日本職業・環境アレルギー学会2014報告-
岸川 禮子 押川 千恵
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2014 年 36 巻 4 号 p. 285-288

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抄録
第45回日本職業・環境アレルギー学会総会・学術大会は2014年福岡市において,日本医師会の研修会と共に開催した.今回の学会は,認定産業医に職業・環境アレルギー疾患をより深く理解していただく事を目的として,産業医学では高濃度の職場環境物質のヒトへの中毒性・毒性および職業・環境アレルギー学では低濃度の化学・生物物質による感作・アレルギー発症が焦点となる.いずれもヒトの健康への影響の軽減や安全性の確立が重要である.職業・環境アレルギー学会は1970年から開催され現在に至っている.群馬県のこんにゃく製造時に排出されるマイコによる気管支喘息や広島県の牡蠣養殖業者におけるホヤ喘息などの重症職業喘息を解明・撲滅したことが当学会の有名な業績である.さらに職業性の喘息・鼻炎,皮膚炎などのアレルギー疾患も個別の対応が予防に繋がる.アレルギー素因のある従業員の疾患の発症を予防し,アレルギー疾患を持つ従業員に適応する職場配慮は,職場環境の質が向上する.現在,産業医学分野における印刷業者の胆管癌発症例やアスベスト暴露による発癌性などへの危険性の関心が高まっている.従業員の健康と安全を守るために,職場環境の指導者の豊富な知識が望まれる.
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© 2014 産業医科大学
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