治療と仕事の両立支援を進めていくうえで,脳卒中患者やその家族,医療機関,事業所それぞれの立場で悩みは異なり,就労には多くの課題がある.両立支援を行う医療機関や事業所に対しては,厚生労働省がガイドラインを公表しているが,脳卒中患者やその家族に対する指針等はなく,脳卒中を発症後,どのように治療と仕事を進めていけば良いか悩む患者が多い.そのため,既に公表されているがん患者を対象とした「仕事とがん治療の両立お役立ちノート」のコンセプトを元に,「脳卒中の治療と仕事の両立お役立ちノート(以下,お役立ちノート)」を作成し公表した.脳卒中の概要,脳卒中を発症直後の時期から復職後の経過に沿った内容で,「誰」と「いつ」「どこで」「何をして」「どのように」関わっていけばよいか,それぞれの病期に合わせて確認できるようにしている.お役立ちノートは,患者や家族また就労支援に関わる人々に働きかけ,脳卒中患者の社会参加を促すなど行動変容につながる情報ツールとなり,就労者が増加し復職率向上に寄与するものと考えられる.