Journal of UOEH
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44 巻, 2 号
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  • 児玉 豊彦, 高木 幸子
    原稿種別: [報告]
    2022 年 44 巻 2 号 p. 151-159
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/06/06
    ジャーナル フリー
    This study aims to clarify the impact of COVID-19 on the mental health of users with mental illness of home visit nursing services. We sent a questionnaire to 1,740 home visit nursing station managers, 374 (21.5%) of whom responded. The total number of valid responses was 328, which amounted to 87.7% of the returned surveys. In total, 103 (31.4%) stations reported that their users’ mental health deteriorated owing to the spread of COVID-19. Eighty-nine (86.4%) stations reported that their users’ anxiety increased. More than 80% of the stations explained infection control measures to their users, but 194 (59.1%) stations answered that their users found it challenging to practice cleanliness. A total of 207 (63.1%) stations answered that the promotion of strategies for coping with stress is necessary for their users. Users with mental illness are vulnerable to stress and have a higher risk of death due to COVID-19. Thus, they should be carefully observed and referred to facilities if required. Home visit nursing staff have an important role to play in the preservation of the well-being of their users with mental illness during the COVID-19 pandemic.
  • 柴原 真美, 栗田 智子, 村上 緑, 原田 大史, 津田 陽二郎, 久岡 正典, 鏡 誠治, 松浦 祐介, 吉野 潔
    原稿種別: [症例報告]
    2022 年 44 巻 2 号 p. 161-166
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/06/06
    ジャーナル フリー
    Uterine tumors resembling ovarian sex cord tumors (UTROSCTs) are extremely rare, occurring in less than 1% of uterine stromal tumors, and they are considered to have a low malignant potential. Due to the small number of cases, no standard treatment has been defined. A 77-year-old woman with postmenopausal bleeding was admitted to our department. Imaging studies revealed a substantial mass around 30 mm in size on the anterior uterine wall. A total hysterectomy and bilateral salpingo-oophorectomy were performed for further diagnosis and treatment. The tumor revealed histopathological findings of a sex cord-like growth pattern in the form of fascicles, cords, or small nests. Immunohistochemical findings revealed that the tumor cells were positively reactive to alpha-SMA, calretinin, CD99, estrogen receptor, and progesterone receptor, collectively diagnosed as UTROSCT. No recurrence was observed over 12 months after treatment. We experienced the treatment of UTROSCT, an extremely rare tumor that occurs in elderly women. Although most cases of UTROSCT have a benign clinical course, several cases of recurrence and metastasis have been reported. It should be followed up for a long term after treatment.
  • 西村 春香, 長 聡子
    原稿種別: [原著]
    2022 年 44 巻 2 号 p. 167-176
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/06/06
    ジャーナル フリー
    認知症高齢者グループホーム(以下,GH)は利用者の医療ニーズの高まりをうけて看護師を配置するGHが増加している.しかし看護師の雇用形態は様々であるため,GHによって看護師の実践は異なることが予想されるが,GHの看護師の実践に関する報告は限局的である.そこで看護師の実践状況の横断調査を行う必要があると考え,本研究はGHの看護師計8名にインタビューを実施し質問紙を作成することを目的とした.看護師については用語の定義を行った.「内部看護師」を常勤や非常勤問わずGHに雇用されている看護師とし,「外部看護師」を訪問看護ステーション等に所属しGHとの委託契約により訪問している看護師とした.得られたデータを質的記述的に分析した結果,GH看護師の実践状況の質問項目数は,内部・外部看護師共通の項目が44項目,外部看護師のみ2項目追加され計46項目が抽出された.今後は本質問紙を用いた横断調査によりGH看護師の実践状況を量的にも明らかにし,さらに内部看護師と外部看護師の雇用形態の違いによる実践の違いがあるのかも明らかにすることでGH看護師の実践状況を検討していく.
  • -新型コロナウイルス感染症流行の中で-
    末滿 達憲, 宮崎 彰吾, 佐藤 和人, 橋本 雄太郎
    原稿種別: [論説]
    2022 年 44 巻 2 号 p. 177-184
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/06/06
    ジャーナル フリー
    種々の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に抗すべくSARS-Cov-2ワクチンが急速に開発され,本邦では薬機法に基づく特例承認を経て,医療従事者,高齢者等に続き,職域においても接種が進められている.COVID-19の病態を概観し,公表されている同ワクチン接種後の死亡例,健康被害救済制度,損害賠償制度および関係法令等を整理した.ワクチン接種に先立ち,健康被害に対する損害賠償等による製造販売業者の損失等を補償するための契約を可能とする予防接種法の改正がなされた.一方,健康被害発生時,使用者等の責任が民法,国賠法に定められているが,何れも使用者等の求償権が規定され,直接接種業務に携わる産業保健スタッフを含む医療従事者に対する損害賠償請求を妨げる明規はない.今後の新興・再興感染症の発生等に備え,法制面,実施主体との契約等につき,特に緊急時の予防接種健康被害に係る提言を行った.
  • 眞田 彩華, 二瓶 俊一, 石川 成人, 山下 美沙子, 物江 智香子, 大坪 広樹, 蒲地 正幸, 真弓 俊彦
    原稿種別: [症例報告]
    2022 年 44 巻 2 号 p. 185-190
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/06/06
    ジャーナル フリー
    トルイジンによる膀胱癌発症が知られている.一方メトヘモグロビン(Met-Hb)血症は稀な疾患であり,トルイジンによるMet-Hb血症の認知度は低い.今回我々は,トルイジン曝露によるMet-Hb血症の1例を経験したので報告する.症例は50歳代男性.トルイジン溶液運搬中に溶液がこぼれ,衣服に付着したが,着替えや除染を行わず2時間かけて職場に運転して戻った.職場に戻ったところ呼吸困難が出現し,救急要請し,前医へ搬送された.著明なチアノーゼを認め, Met-Hb 44%と高値であったため,トルイジン曝露によるMet-Hb血症と診断された.加療目的に当院へ転院,集中治療室に入室となった.集中治療室入室後Met-Hb血症の治療が開始され,Met-Hb値は正常化し,症状も改善した.本症例のようなトルイジンを取り扱う労働者のチアノーゼや呼吸困難では,Met-Hb血症を考慮すべきである.
  • 室岡 和樹, 守屋 良介, 山﨑 豪介, 岩隈 景子, 東島 克佳, 大西 怜, 湊 晶規, 松本 正広, 富﨑 一向, 藤本 直浩
    原稿種別: [報告]
    2022 年 44 巻 2 号 p. 191-196
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/06/06
    ジャーナル フリー
    近年,免疫チェックポイント阻害薬等の多くの新規薬剤が登場し,また産業医科大学病院では2018年1月からda Vinci Xi(Intuitive Surgical G.K. CA)を導入している.この前後の診療実態を把握するために,泌尿器科における2017年1月から2019年12月までの3年間の外来患者,入院患者,および手術術式に関する集計を行った.外来初診患者数は,2017年より年間1,406人,1,530人,1,494人とほぼ横ばいであった.入院患者数は年間862人,1,021人,1,239人と増加傾向であり,主な疾患は3年間で膀胱癌676例(21.7%),腎癌374例(12.0%),前立腺癌268例(8.6%),尿路結石症263例(8.4%)であった.手術件数は年間610件,636件,685件と増加傾向であり,3年間で経尿道的手術1,063件(55.0%),腹腔鏡下手術・ロボット支援下手術396件(20.5%)であった.入院患者数と手術件数は年々増加しているが,医療資源は限られており,今後はより効率的な機能分担が必要であり,近隣の医療機関との連携を促進させ,地域の基幹病院として役割を果たす必要がある.
  • 中根 理沙, 澤田 雄宇, 佐々木 奈津子
    原稿種別: [症例報告]
    2022 年 44 巻 2 号 p. 197-201
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/06/06
    ジャーナル フリー
    80歳男性.神経内科にて視神経周囲炎のため精査加療目的で入院となった.頭部皮下に金属片と考えられる皮下異物があるため,MRIの撮影が困難ということで除去目的に当科を紹介され受診した.初診時,皮下異物の指摘された左前頭部の皮膚に外傷痕は認めず,体表面から異物を触知することは出来なかった.位置の特定が困難であり,透視下での摘出を行い,金属片の除去に成功した.
  • 長 聡子, 西村 春香, 萩原 智子
    原稿種別: [報告]
    2022 年 44 巻 2 号 p. 203-213
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/06/06
    ジャーナル フリー
    Coronavirus Disease 2019の影響により学生全員が自宅からオンラインを用いて履修した老年看護学実習における学びと課題を明らかにした.2020年10月に履修した看護学科3年次生71名を対象とし,「学生のオンライン環境」の選択回答,「実習を通して学んだこと」の自由記述をe-Learningで収集した.有効回答68名のデータを分析した結果,5カテゴリー【対象理解がケアにつながることや高齢者との関わりで実感した楽しさ】,【他者が理解できるような言語化や発信力の重要性】,【事実とアセスメント,考察を混同しない記録の再確認と自己成長のための行動目標の活用】,【対象者の生活を支えるために必要となる多職種連携やケアのあり方】,【オンライン実習での主体性の大切さと学習意欲の高まり】の学びが抽出された.本研究を通し,臨地実習指導者や対象者と双方向につながる機会を設けることにより本来臨地実習で得ることのできる学びも一部得られること,特にオンライン実習では教員や学生間の相互性から生じる学習行動や主体性の重要性の理解など基本的学習行動の学びが得られやすいことが明らかとなった.課題として学生のオンライン環境の整備や実習目標の設定に関して検討していく必要性が示唆された.
  • 金岡 亜也加, 澤田 雄宇
    原稿種別: [症例報告]
    2022 年 44 巻 2 号 p. 215-219
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/06/06
    ジャーナル フリー
    73歳,男性.初診数ヶ月前より,両鼻翼から鼻尖部にかけてびらんが出現した.初診時,びらんは鼻部のみに限局していた.マスクによる摩擦の影響も考慮し,天疱瘡による皮疹増悪の可能性を考え,抗デスモグレイン1抗体ならびに抗デスモグレイン3抗体を測定すると著明に上昇していた. 病理組織学的所見では,顆粒層部における棘融解がみられた.以上より,抗デスモグレイン1抗体ならびに抗デスモグレイン3抗体陽性の尋常性天疱瘡と診断した.その後,四肢体幹への皮疹の拡大があり,プレドニゾロン,アザチオプリンで加療し,皮疹は改善した.顔面のびらんでは,本症も鑑別として挙げる必要がある.また,近年,新型コロナウイルス対策としてマスクの着用が必須となっているが,マスクによる刺激も自験例での増悪因子として考えられた.
  • 濵田 学, 中津留 正剛, 飯田 真也, 武本 暁生, 白山 義洋, 伊藤 英明, 立石 清一郎, 佐伯 覚
    原稿種別: [紹介]
    2022 年 44 巻 2 号 p. 221-227
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/06/06
    ジャーナル フリー
    治療と仕事の両立支援を進めていくうえで,脳卒中患者やその家族,医療機関,事業所それぞれの立場で悩みは異なり,就労には多くの課題がある.両立支援を行う医療機関や事業所に対しては,厚生労働省がガイドラインを公表しているが,脳卒中患者やその家族に対する指針等はなく,脳卒中を発症後,どのように治療と仕事を進めていけば良いか悩む患者が多い.そのため,既に公表されているがん患者を対象とした「仕事とがん治療の両立お役立ちノート」のコンセプトを元に,「脳卒中の治療と仕事の両立お役立ちノート(以下,お役立ちノート)」を作成し公表した.脳卒中の概要,脳卒中を発症直後の時期から復職後の経過に沿った内容で,「誰」と「いつ」「どこで」「何をして」「どのように」関わっていけばよいか,それぞれの病期に合わせて確認できるようにしている.お役立ちノートは,患者や家族また就労支援に関わる人々に働きかけ,脳卒中患者の社会参加を促すなど行動変容につながる情報ツールとなり,就労者が増加し復職率向上に寄与するものと考えられる.
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