住宅建築研究所報
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高層住宅における環境適応行動に関する研究
広川 美子国嶋 道子
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ジャーナル オープンアクセス

1987 年 13 巻 p. 175-187

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抄録
 先の研究(1980年新住宅普及会による研究助成 内部空間の居住性が外部空間での生活行動に与える影響についてその2)においては,大阪市の市街地にある近接した2つの高層集合住宅団地の住民を対象とした「非拘束時の戸外出現行動に関するモニター調査」の分析結果を報告した。この非拘束時の戸外出現行動は,1日の生活の流れの中で,本人の状態・気分,室内の居住性,および,室内の居住性と相対的な戸外の居住性に関するそれぞれの条件が同時に満たされた時に生起するself-consistentな生活行動(その潜在的な動機が主として室内の居住性を補完することにある自己斉合的な生活行動)であることを示した。更に,この行動が調査対象団地のみに限られた特例的な生活行動ではなく,刺激の変化を潜在的に欲求するヒトの普遍的な生活行動の一部であることを解明した。もし自住棟周辺に落ち着いて滞在できる外部空間が存在する場合は,非拘束時に戸外への出現を誘起された団地住民は,その場を手軽で日常的な気分転換行動の場として利用するであろうことは,先の研究の中の「気分転換のための場所と行動調査」の結果によって十分示唆されていると考えるので,本研究においては,そういった住棟周辺外部空間においてよく見かけられる一般的な滞在行動に着目し,この滞在行動の潜在的な動機や目的を追跡した結果,同様に検証された。即ち,非拘束時の戸外出現行動と住棟周辺外部空間での滞在行動との間にはすべての季節において,この2行動者数の経時分布間には比率に一様性がないとはいえないこと,又同時刻のこの2つの行動者数間には有意に高い相関があることが見出された。すべての季節において一貫したこの結果から,この住棟周辺外部空間での滞在行動は,非拘束時の戸外出現行動の出現欲求を具現する行動の1つであり,したがってこの滞在行動の動機や目的もまた,非拘束時の戸外出現行動におけるそれと同様に室内の居住性に対する補完の意味をもつことが示された。
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© 1987 一般財団法人 住総研
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