2013 年 39 巻 p. 121-132
本研究ではネパールの中庭型集住体における共用空間である中庭の管理に着目し,現代に合致した管理システムのあり方について考察した。パタン旧市街地の複数の中庭が含まれる街区を対象とし,各中庭の所有,利用と管理の実態とその主体関係の分析から,以下の知見を得た。1) 共用空間の所有,利用と管理の主体が同一であることが必ずしも合理的な管理システムとはいえない。2) 管理主体を特定の主体に限定したシステムよりも, 多種の主体が存在し, それぞれの利用程度による管理行為を行う共同的な管理システムのほうが, 状況の変化に柔軟に対応できる管理システムといえる。