住総研研究論文集
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社会関係の維持を可能にする集落空間再編の条件
南海・東南海地震による激甚被害が想定される沿岸集落の事例研究
田中 正人堀田 祐三子
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 39 巻 p. 143-154

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抄録

本稿は,和歌山県串本町の沿岸地域居住者を対象にアンケート及びインタビューを実施し,社会関係の保有状況と津波リスク認知や高所移転意向との関連を分析した。主な知見は以下のようである。1)移転意向は居住者によって隔たりがあり,拒否層,消極層,積極層に分かれる。2)拒否層の中心は単身等の小規模・高齢世帯,無就業層であり,その多くは直近の近隣とのみ日常的な共助関係を有している。共助関係は単に人と人との関係ではなく,住み慣れた生活空間上に成立すると考えられる。3)他方,未成年の子のいる若年世帯,自営層は移転を受容する傾向にある。従って,移転誘導施策は若年層と高齢層の分割可能性を持つ。

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© 2013 一般財団法人 住総研
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