2018 年 44 巻 p. 223-232
「居住者ゼロからの「空き」活用をふまえて,まちなかの本質を考える」 原発と津波の複合被災によって居住者がゼロになった福 島県南相馬市小高区においては,帰還の見通しが立ちにくい時期が長く,大量の空きストックが生じた。しかし,避難指示解除となった現在に至るまでの間には,被災前とは異なる形態で,空き家や空き地を利活用する多様な取り組みが生じている。被災者自身による住民らの交流の場づくりや地域のニーズを把握した外部支援者らの利活用などであるが,警戒区域指定の変更や準備宿泊開始などの時期に応じて,まちなかの様相は変化していき,次の利活用へと変化するケースもあった。いずれの段階においても,不動産所有者と利活用の担い手をつなぐチャネルや柔軟な資金が重要となる。