抄録
犬の膝関節に対する関節鏡検査の有用性を検討するために, 正常なビーグル犬と実験的に前十字靭帯を切断したビーグル犬の膝関節内を関節鏡で観察した。その結果, 正常犬では, 前および後十字靭帯, 内側半月, 大腿骨内側顆および外側顆, 滑膜などが観察可能であった。前十字靭帯切断1ヵ月後に実施した検査では, 靭帯の切断端が容易に観察され, また内側半月の遊離縁の不安定さが認められた。さらに2ヵ月目の検査では, その遊離縁に発生した亀裂が明瞭に観察された。以上の所見から, 関節鏡は犬の膝関節疾患に対して応用可能と考えられた。