獣医疫学雑誌
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原著
ベトナム・メコンデルタの牛と食品におけるEscherichia coli O157の分布
LY Thi Lien KhaiTRAN Thi PhanNGUYEN Thu Tam岩田 剛敏小林 秀樹岡谷 友三アレシャンドレ谷口 隆秀HA Thanh Toan林谷 秀樹
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キーワード: E. coli O157, , 分離, ベトナム
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2009 年 13 巻 2 号 p. 107-113

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抄録

ベトナム・メコンデルタの牛および食品におけるEscherichia coli O157の分布を明らかにすることを目的として,2001年7月~2004年9月の間に,牛糞便571検体ならびに小売食品363検体(牛肉150検体,鶏肉50検体,アヒル肉51検体,エビ112検体)を対象に調査を行った。その結果,E. coli O157は牛糞便の2.1%(12/571)から分離され,食品からは分離されなかった。牛糞便からのE. coli O157の分離は,調査した40農場中6農場(15%)で認められ,その分離率を年齢別にみると,6ヶ月齢以下の牛で4%(3/75),6ヶ月齢以上の牛では1.8%(9/496)であり,年齢による分離率の有意な差は認められなかった。さらに,分離されたE. coli O157菌株について,PCRによる病原遺伝子の検索と,抗生物質11薬剤を用いた薬剤感受性試験を行った。供試した15株中12株(80%)がeaeおよびEHEC-hlyA遺伝子を保有しており,13株(86.7%)がstx2遺伝子を保有していた。一方,stx1遺伝子は,いずれの株からも検出されなかった。また,薬剤感受性試験の結果,15株中3株が1薬剤以上に耐性を示した。
本研究により,ベトナム・メコンデルタの牛からE. coli O157が初めて分離され,メコンデルタに本菌が分布していることが明らかになった。

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© 2009 獣医疫学会
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