2009 年 13 巻 2 号 p. 95-99
わが国の繁殖雌豚を対象として,顕鏡学的凝集反応(MAT)を用いてレプトスピラ抗体の検出を行い,その浸潤状況を調べた。MATは病原性レプトスピラの9血清型の生菌液を抗原として行った。2001年から2004年にかけて,20道県の140農場に飼育されていた1,121頭について血清学的調査を実施した。その結果,19道県の98農場(70.0%)に飼育されている281頭(18.0%)がレプトスピラに対する抗体を保有していた。血清型別で最も陽性率が高かったのは血清型Bratislavaで,87農場(62.1%)の202頭(18.0%)から抗体が検出された。次いで血清型Australisの45農場(32.1%)84頭(7.5%),Autumnalisの25農場(17.9%)25頭(2.2%),Canicolaの14農場(10.0%)の25頭(2.2%)であった。以上のように,わが国の繁殖雌豚においてレプトスピラ抗体が全国的に広く浸潤していることが判明した。特に血清型Bratislavaが主要な血清型であることが明らかになった。