獣医疫学雑誌
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東京都心部の小型飼育犬における乳腺腫瘍の発生状況
橋本 志津山村 穂積佐藤 常男金山 喜一酒井 健夫
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2002 年 6 巻 2 号 p. 85-91

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抄録

わが国の都心部で多く飼育されている小型犬における乳腺腫瘍の発生状況を調査した。乳腺腫瘍の発生率は7.9%であり, 犬種別の乳腺腫瘍発生率は, ミニチュアシュナウザーの31.6%が最も高く, 次いでマルチーズの13.9%, シェットランドシープドッグの13.0%, ヨークシャテリアの12.7%, およびポメラニアンの9.8%の順序となり, 犬種によって乳腺腫瘍の発生率は異なった。乳腺腫瘍の大きさは直径3cm未満が80.6%と最も多く, 発生部位は第4~5乳腺の乳腺下位が第1~3乳腺の乳腺上位に比べて約2倍多かった。病理組織学的には, 悪性腫瘍の割合は93.0%と高く, 良性腫瘍の割合は7.0%であった。なお悪性腫瘍中で良性腫瘍との混在は17.9%であった。各症例では腺癌は37.3%, 乳管内乳頭状腺癌は24.9%, 悪性混合腫瘍は67.2%, 良性混合腫瘍は22.9%, 悪性筋上皮腫は1.5%に認められた。また病理組織学的に認められた乳腺腫瘍の発生には犬種による一定の傾向は認められなかった。

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