日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
日本小動物獣医学会誌
乾性角結膜炎がみられた犬2例の臨床ならびに病理学的所見
片野 修一宮 賢次郎山我 義則藤原 範子森田 剛仁島田 章則
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 63 巻 2 号 p. 131-135

詳細
抄録

今回,角膜に潰瘍性病変を呈した犬2例に対してシルマー涙液試験(STT)を含めた眼科臨床検査および涙腺組織を含めた眼球に対する病理学的検査を行った. その結果,2例とも臨床的に乾性角結膜炎(KCS)と診断された. また,2例の涙腺および唾液腺組織の間質にリンパ球を主体とする炎症性細胞浸潤が認められた. 涙腺組織における腺房の破壊像もみられた. 犬のKCSの背景である涙腺組織の機能障害の一原因として,涙腺組織の免疫介在性炎症が示唆されている. 今回の犬2例にみられたこれらの所見が人のシェーグレン症候群と同様の自己免疫性の機序に関連するものかどうかについて,今後詳細な検討が必要と考えられた.

著者関連情報
© 2010 公益社団法人 日本獣医師会
前の記事 次の記事
feedback
Top