日本獣医師会雑誌
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日本小動物獣医学会誌
視覚を喪失した犬15例の経時的行動変化と飼い主の意識調査
柳 いくみ前原 誠也吉川 綾内田 佳子
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キーワード: 行動, 視覚喪失, , 飼い主, 関係
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2011 年 64 巻 1 号 p. 51-55

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抄録
視覚を喪失した犬15頭の飼い主を3カ月間追跡し,犬の行動と飼い主の意識の変遷を調査した.行動では,音/臭いへの反応が中等度に,飼い主のそばにいる時間,物や人へのぶつかり,寝ている/じっとしている時間が重度にそれぞれ増加した.いっぽう,飼い主への吠えと散歩への関心は中等度に減少した.多くの飼い主は犬が「ぶつかる」「段差でつまずく」などに困っており,「声をかける」「家具の配置を変えない」「他人との接触時に盲目であることを伝える」などを意識して行っていた.3カ月経過後,7人が「視覚を喪失した犬との生活に慣れた」と回答し,8人が「犬は視覚のない生活に慣れた」と回答した.視覚喪失の診断時にこれらの情報を獣医師が提示することは,飼い主の嘆きを緩和させ,視覚を喪失した犬の飼養を容易にするための一助となるだろう.
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