2011 年 64 巻 6 号 p. 465-468
水晶体摘出術を行った成熟白内障と過熟白内障のレンズ上皮細胞(lens epithelial cells : LEC)について,白内障の進行度とその細胞面積および細胞密度の関係を調べたので報告する.正常ビーグル犬のLEC の面積のヒストグラムにおいて,累積比率50%到達点は210~230μm2 であったのに対し,成熟白内障および過熟白内障ではそれぞれ250~270μm2 および310~330μm2 であった.いっぽう,LEC の細胞密度は正常では,4645±249cells/mm2 であったのに対し,成熟白内障および過熟白内障ではそれぞれ,3954±260cells/mm2,3130±195cells/mm2 であり,成熟白内障が正常の85 %,過熟白内障では67 %となった.白内障が進行するに従い容積分画のばらつきが大きくなり,LEC面積の増加すなわち細胞容積の増加とともに,また,単位面積当たりの細胞密度の低下が起きていると推測された.