抄録
10歳,雄のシェットランド・シープドッグが吐血,重度貧血を主訴に胃の精査目的のため来院した.血液検査では重度貧血があり,血液生化学検査では低蛋白血症がみられた.腹部X線検査にて胃の不透過性亢進,胃拡張があり,超音波検査にて胃内腔を占拠する実質性の内容物を認めた.虚脱し起立不能で一般状態が悪かったため,輸血を行いながら緊急的に試験開腹を実施した.胃切開により胃の大弯粘膜面に巨大な脳回状腫瘤を確認した.重度貧血の原因がその病変にあると考え,胃の部分切除を行った.病理組織検査において表層粘膜上皮の過形成があり,細胞異型性は認められなかったことから,巨大肥厚性胃炎と診断された.術後,貧血と低蛋白血症は徐々に回復した.犬は術後1年を経過した現在も再発はなく経過良好である.